カリフォルニア大学サンディエゴ校の経済学者たちが、遊園地の売店に協力してもらい、顧客に商品の価格を決めさせるとどういったことになるかを検証した。
検証実験が行われたのは、その遊園地で最も人気があるもののひとつであるジェットコースターのそばだった。被験者となる顧客がジェットコースターに乗って叫んでいる写真を取り、それを販売した。通常は13ドルで販売しているこの写真を「いくらで買うか」を顧客自身が決め、払いたい額を払って写真を買ってもらった。その際『収益の半分は慈善事業に寄付する』旨が伝えられた。
顧客達は無料でその写真を手に入れることも出来たが、そういった人達はいなかった。2日間の実験の結果、寄付分を除いても通常の2倍の利益をこの写真販売で上げることができた。
別の実験では、『収益の半分は慈善事業に寄付する』という点は同じだが、写真の販売価格は通常通りという条件で検証が行われた。すると販売利益は通常とほとんど変わらなかった。
この2つの販売方法から見えてくるものは、『寄付』という行為の優先順位を価格決定権により顧客が変更しているのではないかということだ。
前者では価格決定権が顧客にある。つまり売る側が大損をする可能性もあるので、利益を第一に考えていないと顧客は解釈をする。反対に後者では、価格決定権は販売側のままだ。すると「これは販売促進の一環なんだろう」「元々がぼったくりなんじゃないのか」などと考え、利益が第一に考えられていると受け取ると考えられる。
もちろんこういった手法が常に成功するわけではない。ただ販売者側がこういった利益を度外視した『社会的責任』を担おうとしている時には消費者も相応の『社会的責任』を感じて払う金額が増え、社会にも企業にもより多くの利益をもたらしてくれる場合があるということだ。
その27へ続く
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