2010年、心理学者のケアリー・モアウェッジはある実験を行った。
それは、コインランドリーの洗濯機にコインを入れて、洗濯機が回っている間にチョコレートを食べている自分を被験者に想像してもらうというものだった。
この実験では被験者を2つのグループに分けて、それぞれ入れるコインの数と食べるチョコレートの数を変えた。洗濯機に入れるコインは入れた数で洗濯機の回る時間が変わり、たくさん入れるほど長時間洗濯機が回るという設定で行われた。
1つ目のグループには、想像の中でコインを3枚入れて洗濯機が回っている間にチョコレートを30個食べるという想像をしてもらい、2つ目のグループには、30枚のコインを入れて洗濯機が回っている間に3個のチョコレートを食べることを想像してもらった。
つまり想像の中で、最初のグループはわずかな時間で大量のチョコレートを食べ、もうひとつのグループは長い時間で少量のチョコレートを食べたことになる。
その後、今度は想像ではなく実際に大きな容器に入った大量のチョコレートを出し、好きなだけ食べてもらった。
すると、想像の中で大量のチョコレートを食べたグループは実際に出されたチョコレートをあまり食べることが出来ず、逆に想像の中で少量のチョコレートしか食べなかったグループは実際に出されたチョコレートをたくさん食べた。
ただし、別の実験で想像の中で大量のチョコレートを食べた人に大量のチーズを出して好きなだけ食べてもらった場合、何もしていない人と同じだけ食べたという結果となった。つまり、想像の中で何か食べても、他の食べ物の食欲には影響しないということが分かった。
余談だが、想像の中で大量のチーズを食べた人に、実際にチーズを食べてもらうと、チョコレートと同様にあまり食べることが出来なかった。
その14へ続く
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