前回「流れ」の検証を紹介したギロヴィッチ、ヴァローネ、トヴェルスキーの3人の心理学者は、その後3つのプロバスケットボールチームで同様の調査を行ったが、やはり「流れ」は存在しなかった。
ただ、通常バスケットボール選手のシュートはコイン投げとは違って、相手のディフェンスによって成功率が下がる可能性がある。
そこでディフェンスの影響を考える必要のないフリースローだけを対象に再度調査を行ったが、結果は変わらなかった。
一度成功した後のフリースローも一度失敗した後のフリースローも、成功率は平均75%だった。
その後、何人もの研究者が統計学的手法で「流れ」の存在を検証する調査を行った。そして最初の研究から20年が経過した頃に総括が行われた。
その時の結論は
「『流れ』の存在を完全には否定できないが、それを支持する統計学的証拠は非常に限定的なものにとどまる」(※)
といったものだった。
※ボウリングや蹄鉄投げといった競技者が常に同じ動作を繰り返し、対戦相手から一切の妨害を受けない種類の競技ではわずかながら「流れ」の存在を暗示する証拠も見つかった。他にはテニスやバレーボールといった一部の競技で、弱い流れが存在する可能性が指摘されている。ただ、どれも「流れはある」と明確に言い切れるほどのものではない。
その11に続く
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