「援助行動」「責任の分散」「傍観者効果」等の用語の意味と関連性を御存知の方は下記説明を読み飛ばして下さい。
結果としては「聞いたことがある」「知っている」かもしれませんが、データや傾向としての裏付けが有用だと思われますので、ご紹介します。
【心理学用語としての意味】
・援助行動…他者に利益をもたらそうと意図された自発的な行動のこと。
・責任の分散…ある出来事に対する責任が複数の人間によって共有されると、その責任の重さが個々人に分散されること。
・傍観者効果…他者に対し援助すべき状況であるにもかかわらず、周囲に多くの人がいることによって、援助行動が抑制されてしまう集団心理のこと。傍観者効果が生じる原因としては、「責任の分散」「聴衆抑制」「多元的無知」などが考えられています。
援助行動と責任の分散
援助行動を確かめる実験として、宛先が書いてあり切手が貼ってある手紙を学生寮の廊下に落とすという実験が行われました。
実施場所として
①平均58人が住む小規模学生寮
②平均166人が住む中規模学生寮
③平均529人が住む大規模学生寮
の3区分で行われました。
落とした手紙の到着率の結果は、
①100%
②87%
③63%
となり寮の規模が大きくなるほど援助行動は起こりにくくなりました。
援助行動が起こる条件を探るための様々な実験では、自分だけの時が最も援助行動の生起率が高く、他に人がいると生起率が低くなるといった傾向が一貫して確認されています。
怪我をした女性に気付いた時の援助行動の生起率は、1人の時70%に対して、2~3人の場合では40%。
廊下に煙が見えた時に通報するかどうかでは、1人の時75%に対して、2~3人の場合では38%という結果がでています。
こういった人数が多くなると援助行動が起こりにくくなる傾向を説明する際に用いられるのが「責任の分散」や「傍観者効果」です。
「自分がやらなくても誰かがやるだろう」
上の例に当てはめると「自分がやらなくても誰かがその女性に声をかけるだろう」「自分がしなくても誰かが通報するだろう」といった具合になります。
地方から都市部へ出てきた人がしばしば言う「都会の人は冷たい。田舎はもっと温かい」というセリフは、人口の差による「責任の分散」や「傍観者効果」が都市部の至る所で起こっていると考えると説明がつくのかもしれません。
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