導入期~盗む~
画家のパブロ・ピカソは
「すぐれた芸術家は借りる。偉大な芸術家は盗む」
という言葉を残しています。
スキル向上は情報の吸収と応用によるもので、その最高の情報源は超一流のエキスパート達です。「盗む」ことは芸術、スポーツ、デザインも分野では伝統になっていて「影響を受ける」という表現で日常的に行われています。
ダラス郊外にあるセプティエン現代音楽学校では、生徒たちに
「あなたたちは必死で盗まなければならない。優秀なアーティストを一人残らず観察し、その人たちが持っているもので使えそうなものを見つけて自分のものにしなさい」
と檄を飛ばしています。それがデミ・ロバート、ライアン・カブレラ、ジェシカ・シンプソンなどの才能を生み出しました。
記録をつける
洋の東西を問わず、多くのエキスパートが自分の日々の出来栄えについて何らかの形で記録をつけています。
綺麗な形で残さなければいけないわけではなく、セリーナ・ウィリアムスやカートシリングはメモ帳を活用しています。
大切なことは、どんな形で記録をつけるかではなく、書き留めたアイデアをあとで振り返ることです。
そうすれば仮にメモ帳であってもその記録は、心の地図のような役割を果たし、自分が辿ってきた道とこれから進むべき道を明らかにしてくれます。
あえてバカになる
アイスホッケーの神様・史上最も優れたホッケー選手と称される元プロホッケー選手のウェイン・グレツキーは時折一人で氷の上で練習しながら転倒するという一見奇妙な行動をとっていました。
類まれなスキルを持ったグレスキーが一人で氷の上で転ぶことなど通常はありませんが、自分のスキルをさらに磨き可能性の限界を突き破るには必要な行動でした。
可能性の限界を破る唯一の方法は脳の中に新しい神経回路をつくることです。そのためには「背伸び」をして失敗する必要があります。そのためにグレスキーはすすんで「バカになった」のです。
「バカになる」ことは、決して気分のいいものではありません。しかし、すすんでミスをして精神的苦痛を経験することが脳の中に新しい神経回路をつくります。「背伸び」をして失敗し、再び「背伸び」をすることがその唯一の方法です。
才能開発にとってミスはミスではなく、上達に必要不可欠なプロセスなのです。
その4へ続く
前回分は下記より
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