科学的根拠の乏しい健康食品について

 膝痛の患者さんとお話していて「グルコサミンとかコンドロイチンとか飲むといいのかなあ」という話題が出たのでここで少し書いておきたいと思います。

 

 まずは特定の物質に言及せず、常識的な範囲で考えます。経口摂取(要するに飲食)をした場合「消化・吸収」されます。そのためにはそれが可能な大きさまで「小さく」「分解」されます。

 まずこの時点でその「物質」ではなくなります。さらにものによっては吸収率が悪くその時点でアウトです。その事実が広まると「吸収されやすいように低分子にしました」などの謳い文句で「低分子○○」などの商品が出ているようですが、あくまで「吸収」がよくなっただけです。その物質でなくなるのは同じですし、体内で再びその物質に合成されるかはわかりません。

 

 このままでは分かりにくいので具体例を挙げてみましょう。

 

 「美肌」や「関節」にいいとされているコラーゲンという物質があります。コラーゲンとはそもそもタンパク質です。タンパク質は消化・吸収の過程でアミノ酸やペプチド(アミノ酸が2~3個結合したもの)に分解されます。

 つまりコラーゲンを取ることは、コラーゲンの「材料であるアミノ酸」を取ることになりますが、そのアミノ酸が再び体内でコラーゲンに再合成されるかは分かりません。また仮に再合成されるとしても、それが「お肌」や「膝関節」など「効果を期待する特定の部位」で再合成されるかどうかは分かりません。

 

 また過剰摂取や特定食品への偏りによる弊害の心配もあります。

 

 食事や運動・休息のバランスが崩れると生活全体の乱れに繋がる場合があります。盲目的に狭い範囲を見ずに、俯瞰で物事をみて改善しましょう。

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