薬を服用する時の飲み物について質問を受ける時があります。「薬はお茶で飲んではいけない」と思っている方が時々いらっしゃるようですので確認していきたいと思います。
以前は鉄剤(貧血治療用の薬剤)は、お茶に含まれているタンニンという物質によって鉄分の吸収を妨げると考えられていました。そこから広く「薬全般がダメ」というふうに解釈される方がいたようです。実際、そのように服薬指導を受けたことがある方もいるようです。
現在では、「タンニンが薬の吸収を少し妨げることはあるが、薬の効果が失われるほどではない」ということが分かっています。飲み合わせや食べ合わせを禁止されている薬は確かにありますが、その一部を除いて服用の際の飲み物で薬の効果に大きな差が生じることはありません。
風邪薬程度ならお茶、コーヒー、紅茶などで飲んでも問題ありません。お白湯で飲むのが一番ですが、手元にない場合はそれほど神経質になる必要はありません。何も飲まずに薬を飲む方が危険です。薬が食道などに張り付き、十分な効果が得られなくなる恐れがあります。
また錠剤をかみ砕いて飲んだり、カプセル薬を分解して飲むことも危険です。それぞれの薬の形状にはきちんとした意味があり、溶ける時間や場所を計算して作られているからです。
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