膝痛の患者さんとお話していて「グルコサミンとかコンドロイチンとか飲むといいのかなあ」という話題が出たのでここで少し書いておきたいと思います。
まずは特定の物質に言及せず、常識的な範囲で考えます。経口摂取(要するに飲食)をした場合「消化・吸収」されます。そのためにはそれが可能な大きさまで「小さく」「分解」されます。
まずこの時点でその「物質」ではなくなります。さらにものによっては吸収率が悪くその時点でアウトです。その事実が広まると「吸収されやすいように低分子にしました」などの謳い文句で「低分子○○」などの商品が出ているようですが、あくまで「吸収」がよくなっただけです。その物質でなくなるのは同じですし、体内で再びその物質に合成されるかはわかりません。
このままでは分かりにくいので具体例を挙げてみましょう。
「美肌」や「関節」にいいとされているコラーゲンという物質があります。コラーゲンとはそもそもタンパク質です。タンパク質は消化・吸収の過程でアミノ酸やペプチド(アミノ酸が2~3個結合したもの)に分解されます。
つまりコラーゲンを取ることは、コラーゲンの「材料であるアミノ酸」を取ることになりますが、そのアミノ酸が再び体内でコラーゲンに再合成されるかは分かりません。また仮に再合成されるとしても、それが「お肌」や「膝関節」など「効果を期待する特定の部位」で再合成されるかどうかは分かりません。
また過剰摂取や特定食品への偏りによる弊害の心配もあります。
食事や運動・休息のバランスが崩れると生活全体の乱れに繋がる場合があります。盲目的に狭い範囲を見ずに、俯瞰で物事をみて改善しましょう。
ビタミンは人体に必要不可欠なものです。人間の体内で作られるのはビタミンDだけです。それ以外のビタミンは体外から摂取する必要があります。
昔はほとんど全てを飲食物から摂取する必要があり大変だったのですが、今はサプリメントが普及して簡単に摂取することが出来るようになりました。その反面、過剰摂取に注意しなければならない場合もでてきました。
「ビタミンは取れば取るほど体にいい」「ビタミンは取り過ぎても余分な分は尿と一緒に排泄される」と勘違いされている方が時々おられます。
ビタミンには1日に必要な推奨量や目安量だけでなく成分によっては耐容上限量が定められています。(下図参照)
栄養ドリンクを飲むとシャキっとしたり元気になったような感覚になることがあります。ただし、これはあくまで主にカフェインと糖分による一時的な現象だと考えて下さい。カフェインが交感神経を刺激し、糖分が血糖値を上げるので、一時的にシャキっとして元気になったような錯覚が生じるのです。
特に低価格のものやエナジードリンクと呼ばれる清涼飲料水はほとんどがそうでしょう。プラスアルファ、プラシーボもあると思います。
また生薬などの薬効成分を抽出するためにアルコールを含んでいるものもあります。アルコール含有量は最大でも1パーセント程度ですが、アルコールでも一時的に元気になったような感覚を得ることができます。ですがこれもあくまで一時的な現象です。
医薬品、医薬部外品、清涼飲料水の表示で選ぶという考え方もあるようですが、これもあくまで確率論でしょう。医薬品の方が清涼飲料水より有効成分が入っている種類や量が多いというだけで、それが飲む人に必要な成分や量だとは限りません。
あまり栄養ドリンクに頼り過ぎるとかえって疲労を貯めてしまったり、体調を崩してしまう場合もあります。あくまで補助的な目的の使用に留めておくのがいいでしょう。
疲労回復の基本は栄養を取って休むことです。そしてその栄養は食事から摂るものです。栄養ドリンクを常用しているひとは、日常生活の見直し、特に食事の面から改善してみて下さい。
分類の仕方によりますが、ここでは
”人工的に合成される(合成出来る)”という意味で人工甘味料をくくります。
人工甘味料は2種類に分けることができます。
①自然界に存在している甘味を感じる物質
(既存添加物いわゆる天然添加物)
②自然界に存在していない物質(合成甘味料)
①の例
・エリスリトール
・ソルビトール
・マルチトール
・キシリトール など
②の例
・アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)
・アセスルファムカリウム(アセスルファムKとも表記される)
・スクラロース など
現在、ゼロカロリーやカロリーオフなどを謳った商品によく使われているのは②の方であり、安全性を疑問符するような研究結果が一部で発表されています。現代の砂糖の過剰摂取を減らしているなどの面もあり功罪両面からの意見があります。
「カロリーゼロ」とは食品100g(飲料100ml)あたりの熱量が5kcal未満であれば表示でき、完全にゼロとは限りません。
また「シュガーレス」も砂糖や果糖、乳糖といった糖類が食品100g(飲料100ml)に0.5g未満であればそう表示できます。「ノンシュガー」「無糖」も同じ意味です。
ちなみに「砂糖不使用」は単に砂糖を使っていないという意味で果糖や乳糖を含んでいてもこう表示することができます。
こういった表示のある食品では人工甘味料を使われていることが多く取り過ぎに注意が必要です。