パップ剤には冷感タイプと温感タイプのものがあり、一般的にそれぞれを「冷湿布」「温湿布」と呼びます。
「温湿布」には温かさを感じるトウガラシ成分のカプサイシン。「冷湿布」には、冷たさを感じるメントールが配合されており、皮膚の『感覚』(心地良さ)に違いを出します。どちらの湿布も、血行を変化させるほどの筋肉の温度変化はみられないとされています。
つまり温湿布(温感タイプ)は、温熱療法としての効果を期待するには十分とはいえず、 冷湿布(冷感タイプ)も、深部の冷却効果を求めるには不十分なのです。(温湿布の温める効果も一時的に僅かなもので、結果的にはどちらも皮膚温度を下げる効果をもたらします。)
一般的な使い方としては、熱を伴う急性の痛みには冷やすために冷感パップ剤を、慢性の痛みには温めるためにテープ剤や場合によっては温感パップ剤を使用するのが、正しい使い方とされています。その上で、使う方の好みに合わせて温感タイプと冷感タイプを使い分けてもらいます。
湿布の薬効成分は2時間程度貼れば、皮膚に浸透し、しばらく効果が続きます。皮膚の弱い方やかゆみ・かぶれがおきやすい人は、長時間貼りっぱなしにせず、貼付時間を短くして下さい。
いわゆる貼り薬の「湿布(しっぷ)」には、パップ剤とテープ剤の2種類があります。見た目にはパップ剤が白く厚い。テープ剤は肌色で薄いものがほとんどのようです。
根本的に違うのは基材です。
※基材…基剤とは主にその形状をつくっているもので、薬剤(有効成分)ではない成分のことをいいます。液体の薬であれば基剤は水(精製水や滅菌精製水など)、軟膏であればワセリンなどを指します。
パップ剤は水溶性の基材に薬剤を塗布しており、テープ剤は脂溶性の基材に薬剤を塗布しています。
テープ剤には粘着剤が含まれており剥がれにくいが肌荒れをおこしやすい。パップ剤は水分を多く含んでいるため肌には優しいが剥がれやすい傾向があります。
テープ剤は粘着力が高く、よく動かす可動部に貼付するのに適しているが、その粘着力がゆえに貼付しづらいという難点があります。手先が不器用な高齢者では「くっついてクチャクチャになってしまい、うまく貼れない」という人が少なくありません。
また、テープ剤は、皮膚が弱い人は、はがす際に皮膚を傷つけてしまうことがあります。無理にはがそうとせずに、お風呂に入ったときに、お湯をかけながら、端から少しずつはがしていくなど工夫するといいでしょう。
逆にパップ剤は、はがれやすいという不満が出やすい。そうした場合は、ハサミで切り込みを入れ、体にフィットさせてはがれにくくする方法や洋服などにひっかかりやすい四隅を、丸く切っておくのも“はがれ防止”に有効でしょう。