慢性腰痛患者145名を対象に、TENS(低周波治療)群、シャム(見せかけのTENS)群、ストレッチ+TENS群、ストレッチ+シャム群に割り付けて2ヶ月間追跡したRCT(ランダム化比較試験)によると、4群間の疼痛改善率に差は認められなかった。
航空機製造会社に勤務する3020名を対象とした4年以上にわたる前向きコホート研究では、腰の柔軟性を測定することで過去の腰痛歴や将来の腰痛発症率は予測できないことが判明。腰痛疾患に対するストレッチの有効性に疑問あり。
柔軟性と腰痛とは無関係であることが科学的に証明された結果です。ヨガのインストラクターもよく腰痛を訴えることから腰痛をあつかう治療者は経験的に知っていたはずですが、ストレッチが悪いといっているのではありません。心身の健康のためにストレッチは大いに活用しましょう。
6週間以上持続する腰痛患者151名を対象とした牽引群とシャムトリートメント(擬似牽引)群に割り付けたランダム化比較試験(RCT)によると、3ヵ月後と6ヵ月後のどの時点においても両群間の疼痛軽減率に差は認められなかった。
安静臥床に関する39件のRCT(ランダム化比較試験)をレビューした結果、安静臥床によって改善が認められた研究はひとつも存在しない。激痛のために動けない場合は別として、急性腰痛患者が安静に寝ているのは有害で危険な行為。即刻やめさせるべき。
変形性膝関節症患者180名を関節鏡手術群、関節内洗浄群、模擬手術群に割付けたRCT(ランダム化比較試験)によると、関節鏡手術の成績は2年間にわたって模擬手術と同等だった。関節鏡手術はプラシーボに過ぎない。関節鏡手術にかかる医療費は他に振り向けるべき。
ありふれた症状を訴える患者200名をプラス思考で接した治療群と無治療群、マイナス思考で接した治療群と無治療群に割りつけたRCT(ランダム化比較試験)によると、2週間後の改善率は治療の有無に関わらずプラス思考で接した群の方がはるかに高かった。
患者に安心と勇気を与えた場合と不安と恐怖を与えた場合を比較すると、治療の有無にかかわらず前者のほうがはるかに早く回復することが明らかになった。
腰痛で長期欠勤している患者975名を3年間追跡したRCT(ランダム化比較試験)によると、200日後の復職率は教育プログラム(従来の常識はすべて忘れて怖がるなという指導)群が70%だったのに対して、標準的治療群はわずか40%でしかなかった。
※RCTとは、臨床試験等におけるデータの偏り(バイアス)を軽減するため、被験者をランダム(無作為)に処置群(治験薬群)と比較対照群(プラセボ群など)に割り付けて評価を行なうこと。前向きコホート研究とは、大規模集団を長期間にわたって追跡調査し、仮説要因と疾病との関連性を分析すること。